ボリビア・ラパス、衝撃の一夜——デモ、特殊部隊、そして倍額タクシー

乗り継ぎのため、ボリビアのラパスに一泊することになった。たった一夜の滞在、スムーズにホテルへ向かい、翌朝のフライトに備えるだけの簡単なはずの移動。しかし、そんな淡い期待は、ラパスのリアルな洗礼によって、あっという間に粉々に砕かれた。
まさかの大渋滞、その先には…?
空港を出て、タクシーに乗り込む。街へ向かうだけのシンプルなルート。が、進むほどに異様な光景が広がってきた。前方には大渋滞、車がピクリとも動かない。クラクションの嵐。まるで都市全体がフリーズしたような雰囲気だ。
タクシーの運転手が舌打ちしながらボソリとつぶやく。「マニフェスタシオン(デモ)か…」
その瞬間、ゾクッとした。いやいや、そんなシナリオは予定にないぞ。

運転手は強引に前へ進もうとする。しかし、前方では群衆が道を塞ぎ、さらにその前には黒い防弾ベストに身を包んだ、ガッチリ装備の特殊部隊がずらりと並んでいるではないか。ヘルメット、盾、銃——「ガチのやつ」だ。
「え、これ大丈夫なやつ?」と動揺する私をよそに、運転手はなおも突っ込もうとする。
空から降るのは雨ではなく…
すると、突如——
バン!
車の屋根に何かが激しくぶつかった音がした。続けざまに、ドスッ、バサッ、ゴン!
「えっ、何?何?何?」
窓の外を見ると、デモ参加者たちが上から何かを投げている。ゴミ袋だ。しかし、それはただのゴミではない。明らかに土や石がぎっしり詰まった重量級のやつだった。
「おおおおおおおおい!シャレにならんぞ!」
運転手は慌ててバック。車の天井にはいくつものゴミ袋が直撃し、鈍い音を立てている。正直、車が無事なのが不思議なレベルだ。
歩いて突破せよ!——交渉の末の“倍額タクシー”
「車では無理だ。歩いていけ。」
運転手が言い放つ。マジかよ…。
すると、反対側から別のタクシーの運転手がやってきた。彼らはスペイン語で何やら交渉を始める。雰囲気から察するに、「ここで客を渡す代わりに、何かしらの条件を飲め」という流れだ。
そして——
「倍の料金で行ってやる」
「はぁ!?さっきの金額の倍?」
「歩くリスクと交渉の手間を考えろ」
…確かに、言われてみればこの状況で新たにタクシーを探すのは至難の業。選択肢はない。渋々、倍額を支払うことで合意。
ビビりながらデモの列の間を歩き抜け、ようやく新しいタクシーに到着。乗り込むや否や、ドアを閉める音に安堵のため息が重なる。
「さあ、出発だ」
今度こそ、スムーズに街へ——
ラパスの夜、忘れられない体験
こうして無事に街へたどり着いたものの、心拍数はしばらく下がらなかった。
ボリビア、ラパス——想像をはるかに超えたスリリングな一夜。
乗り継ぎのはずが、一生忘れられない旅のハイライトになった。